何度目かのマルサの女2を見た。

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マルサの女2(1988年 日本 監督/伊丹十三)

伊丹さんの作る映画の殆どは、とっぴな恰好の主人公が活躍して問題解決して痛快に完結するものが多い。扱うモチーフが一般的に知られていなかったり、難解だったり、反対にあまりに一般的なものなので、物語として分かりやすくするためにそうしているのだろう。本当のところは知らないが。

このマルサの女2は、2というくらいなのでマルサの女の続編なのだが、主人公のその後を描くことはしていない。よく映画の軸編はあんまり面白くないと云う意味で成功しないと言い切られることがあるが、多分主人公のその後を描くために作られているからだろう。そして物語を忘れて主人公の一生を追いかけるサーガになるのだ。
マルサの女2はそうはならなかった。主人公も所属する国税局査察部もどんどん影が薄くなり、汚い宗教家がぐいぐい前面へ出てくるのだ。さらに前に出てこない悪党の政治家も真っ黒い影として存在感を出している。
そして主人公は勝てない。追い詰めて目の前にいるのに巨悪を倒すことが出来ない。胸のすく結末でないことで、物語自体の印象を強く残している。

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