香川1区を見た。

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香川1区(2022年 監督/大島新 日本)

2022/02/01

名古屋シネマテークにて

足元が寒くてなかなか書けない。きちんとした文で書くとこれまたいつまでも書けないのでつらつら書く。

今日が毎月一日の映画の日であることをすっかり忘れていたので1,100円で見れるのに前売り券1,500円で見ました。富豪です。先に買っちゃったのでどうにもならんのだけどね。

なんか、自分に腹が立ったので二列目で体操座りして鑑賞しましたよ。シネマテークは二列目まで座椅子なのです。

香川1区。主に選挙をモチーフにしたドキュメンタリー映画。最初に嫌だったこと。迷っているかのような絵とか揺れなくても良いような場面でのカメラの揺れが多くて酔ってしまった。ドキュメンタリーで選挙などのその場で何があるかわからないような場合はカメラが揺れることもあるとは思います。しかし、前作(なぜ君は総理大臣になれないのか、以下、なぜ君)があるので、多少は予測できる場面があるのではないかとか、フィックスでもうちょっと手持ちカメラをキープできないのかとか思いました。最初なんで気持ち悪くなるのかわからなかった。今時GoProでもそんなに手振れしないし、iPhoneも最近のは手ブレが少ない。平井議員のインタビューでRODEのワイヤレス使っていたので民生機対して嫌悪感はないのではと思うのでカメラも工夫して欲しいかった。

それは平井議員(映画内では候補者)の街頭演説を撮影している時に平井議員の関係者が撮影を妨害してくるのですが、小さなカメラを使っていれば回避できたのではないかとも思いました。音声の品質が気になるけど、ノイズが入ってどうしようもないとかはならないし、地面を撮ってる時間ももうちょっと短くなるのではないか。とにかくカメラ酔いとの格闘だった。

はい、それでは内容。

イントロが長くて尺の水増しっぽく見えて、これも気分が悪くなる感じだったがエピローグできちんと回収されていた。生活が見える小さなほっこりは良いね。

なぜ君から連作と考えると小川議員のウエイトを大きくする必要はあるんのかと疑問はあるのだろうが、なぜ君を見ていないとそこはあえて気にすることはないと思った。結果論だけど、小川陣営しか香川1区チームが身を寄せる場はなかった。これも結果論だが平井議員へのインタビュー、取材がほぼできない状態だったので小川陣営を中心に書かざるを得なかった。平井議員は取材にOKを出しても関係者は平井議員に忖度して結果として映画と同じ状況になっただろう。全然感想になっていないね、感想を書こう。

この映画ではなのか、選挙期間中もなのかこれも不明だが三人とも政策を話すことはなく、選挙のための選挙の感じは拭えなかった。それでも結末で感動を覚えたのは小川さんの家族の誠実さと小川さん本人の愚直さが結果に繋がったからだろう。

よかったなと思ったのは候補者や関係者以外の人たちへの取材がかなりあったこと。特に生活のために自民党候補者に投じるが小川さんを応援していると話していた人。映画的には小川さんに街頭で激を飛ばしていた子育て中の方が感動的に映るかもしれないが、僕は前者の取材がこの映画とこの現実社会を反映していると思った。

演説を聞いている人たち、握手をしている人たちも撮影している。候補者や運動員が動いてからしかカメラは動けないので背後から追うしかないのは仕方がないが、それでも積極的に有権者を撮りに行っているようにも見えて気になった。候補者以外の視点があることで複数の視点が得られ、映画としてはやりたいと思うが、当然のように嫌がる方もいるからね。むしろそちらが多数。取材は選挙とは別部隊なのは自分たちだけの認識で、他の人たちには同じ関係者にしか見えない。どんなに自分たちは特定の候補者を支持していないといっても伝わらない。えっと、小川陣営の選挙カーの中から撮影しているカットがありました。インタビューもしていたので香川1区チームが撮影しているのだと思います。だとすると候補者の許可と乗車するための許可証を身につけないといけないのですけどもそのあたりはどうだったんでしょうか。僕が同じように地方選挙の候補者に張り付いて撮影したときは選挙カーに乗車しての撮影はその候補者の乗車許可の腕章をつけさせられましたし、それがないと選挙違反になります。てなことで、制作の視点は特定の候補者を支持することはなくても制作中はどこかに属しないと撮りようがないジレンマともいえるものがあります。

小川さんが維新候補に対して出馬取りやめをお願いしたことを割と引きずって描いているところは、小川さんの気持ちや個人が見えて良かったと思います。社会人であれば切り替えるべきであるが、小川さんはずーっと拘っていて、政治評論家の田崎氏が指摘した時もしつこいまでに誠実に説明していたが、田崎氏はコップの中の嵐程度にしか考えておらず、国政選挙と言っても地方だし、中央から見たらありえる反応だと思った。熱くなりすぎたと後にお詫びする場面も入れていたものの、その後も話題に上がっていた。見ていても他に選挙活動中にやったことあるだろうにと思うんだけど、この話題をすることで維新の候補者が映画に登場するのでそれを狙っているのかと思った。それくらい維新の候補者は映画内では存在感が希薄だ。多分実際の選挙でもそうだったのだろう。想像だが選挙運動期間中の三人の候補者の勢いや存在感はこの映画の候補者のバランスそのものではないか。

小川さんは陣営は女性が多く感じ、明るくて楽しく感じた。あれはなんでだろうね、発想の違いが反映されているのかな。自分で撮った地方議員の選挙でも同様で背広のおっさんばかりの選挙事務所は怖い感じがした。怖いは違うか、曰く言い難いあまり関わりたくない感じと従うしかないようなあきらめを感じた。

見た目は作戦で工夫できるのにやらないのはやる必要がないからだろうね。誰もお手盛りの動員でも気にしない。関心がないんだ。

別に背広のおっさんばかりのいる候補者を追っても良いのになぜそうではない方を追ってしまうのか。

維新の候補者の兎角影が薄いのは香川1区チームが興味を持っていないこともあるかと思う。大阪以外の地方選挙でも維新候補者は登場するが、本人よりも維新の運動員が前に出てしまい、地方選なのに閣下を憂う事態になっているので、その辺りが見えたのではないか。そこにあえてフォーカスするなどは物見遊山以外にないのではないか。で、平井議員については取材するに足るとは思うが、支援者は盲信することしか求めていないので俯瞰した視点、あえてマイナスも取り上げるようなことは許さないだろう。そして映画内で登場する撮影の妨害程度では済まないと思う。でもやるんだ!とはとても言えない。ここにかかるとてつもない責任と覚悟はここで消費すべきと思わないから。

それとして、平井陣営も撮影は道路使用許可があるかで攻めていけば良かったのになw。路上での急な撮影では使用許可は取っていないだろうからね。

また取材したとしても平井議員やその陣営のしょうもないスキャンダル的なことしか見る気がないのではないか。彼の政治活動、議員活動、政策に興味を持っているだろうか。映画内でも多少出てくるが、負の部分への視点を大きく持つのではないか。そこを楽しいとか痛快に思うのは平井議員を悪として設定してしまっているのではないか。

あえて取材するならば、平井議員というよりも自民党公認の候補者の選挙に対する変質的とも思える執着心だ。それが表現できればいいかなと思う。フラットに見ることができればあるでしょうけど、対立構図を作りたい、なければ興味が持てないなら撮るだけ無駄だと思う。やはり小川さん、もう少し小川陣営の方々の人となりが見える部分があっても良かったかも。やっぱりいらないかも。

で、香川1区の感想だったね、後半の平井陣営への取材拒否が始まってからは大島新さんたちが前に出ざるを得ず、徐々に出演者になっている。選挙以外に選挙を撮影することもこの映画のモチーフになってしまった。その変遷も含めて面白い。平井陣営は前作も含めてPR映画と呼んでいたが、自らの行動がそう呼ばせてしまっている因果応報的にも感じた。

面白いと見えてくるのは平井陣営が小川さんを脅威に感じての行動からだ。映画に関わるすべての人が思っていなかったことが起こるのもここくらいから、平井議員か関係者かはわからないが不気味さが見える。意外と人間味が見えるのは平井陣営や支持者たち。小川陣営は手応えを感じているのか前向きな行動が多いので良い側面しか見えない。ここから人の欲まで読めるならできる人か単に嫌味な人だろう。

で、クライマックスの開票。小川さんの良い結果も相まって感動的だった。しかしどうしても政策が登場せず、思いだけを発信しているように見えてしまうので、これだけを見て選挙とは言いづらい。はやりもっと政策だと思う。思いは気分に通じるのであまりウェイトをかけない方がやっぱりよいな。

他の人は知らんが自分で撮ったことのあるモチーフを優れた人たちがチームで作った映画は親近感もあるし、出来栄えの良いもので適わないなあとも思った。

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