なんで僕だけ両方作れたのか書きます。

投稿日:

まだ引きずるのかw で、お馴染みのこの前の展覧会で映像とイラストを展示していたのは僕だけでした。そして制作中のスケッチや描いたロボットのバリエーションやサブストーリーなどをまとめたスケッチブックを作ったのも僕だけでした。

なんで僕だけ両方作れたのか書きます。

twitterではLightwaveで作ったからとか書きましたが、本当は違います。Lightwaveしか使ったことが無いので他がどのくらい秀でているのか分かりません。ただ、3DCG業界ではぼろくそ言われるLightwaveを使って期日までにイラストと映像が作れました。MAYAやmodoを使っている方々はイラストか映像のどちらかしか作れませんでした。ちなみに両方作るのはノルマでした。だからLightwaveは優れている素晴らしい!わけでもなく、かといって使いにくくてどうしようもないことも無いです。2018年7月現在に公開中のニンジャバットマンや宇宙戦艦ヤマト2202ではLightwaveが使われています。
で、ツールではないのです。他の人は忙しく、僕はヒマだったからというのは多少関係があると思います。暇だと時間がありますからね。それでも制作中にミュージシャンの新曲用ビデオの撮影と編集してんですよwバジェットが極小なので威張れる話じゃないけど仕事は仕事です。それでも僕は時間があるからというならば仕事辞めればいいんです。めちゃくちゃですが仕事が忙しくて時間が無いならそもそも参加すべきではないですし、出来ないことの言い訳にするなら仕事を止めれば時間は作れますよね?でも、そういうことじゃないんです。

僕がイラストと映像を作れたのは作戦を立てたからです。


まず、世界一の傑作を作らない、しょぼくてそこそこの作品を作ることにしたのです。
これに限らずしょぼくてそこそこの作品を作るように心がけています。世界一の傑作は完成しないのです。例に出すとプラモデルです。各種メディアで大変格好良い作品を見たり、店頭などで好みのプラモを発見します。そこで、僕も徹底工作してかっこいいの作るぞ!と自分の技量を無視して奮起します。箱を開けます。仮組します。パテ盛ります。硬くて削れずに一日が過ぎ翌日放置します。そして数か月、数年経ちます。3DCGを使った作品作りも同じです。最初に意気込みすぎるのです。スタートは緩めでいいのです。てきとうです。

あ、これ、皆に人気の出る訴求力の高い成果物を作る作戦とかアイデアじゃないからね。与えられたノルマをこなす工夫です。

そもそも普段から何らかの作り物をしている。

ミスプリントの裏に落書きでもツイッターで適当にホラ話でも何でもいいんです。普段からアイデア出しをする練習をしておくのです。そのアイデアが常にはまることは無くともアイデアを考えることは練習出来ているのです。今回は比較的急に誘われたので出来る範囲でまぁ何とかすることを念頭にたまたまロボットを落書きしていたのでロボットを描くことにしました。と言って展覧会のテーマ以外に自分でも課題を考えて、きちんと関節が動くためのクリアランスなど確保しているとか、力士みたいなシルエットとか、大きくない足とかこれまでアニメのロボットのプラモなどで良いとされる発想に疑問を感じていたことを絵にしようと思ったのです。テーマが名古屋だったので名古屋をイメージするものをロボット化すればいいと安易に考えました。似ても似つかないですが、鯱と名古屋の八から体から八肢出ているようにしました。八角形もモチーフにしつこく取り入れています。

いきなり展覧会だ、テーマはこれだ。わー!自分の発想と違い過ぎていて思いつかない、どうしよう。というのは常に何か考えていることである程度回避できます。考えているだけでは悪くて、棒人間でもいいし、一言でもいいので書くことが大切です。書いたものを見る必要も無くて、忘れてもいいんです。アイデアを考える練習が必要なのです。

必死になるのは手抜き。

時間をかけて手を抜くことを考えるくらい本末転倒になって手抜きを考えます。僕は背景を作るのが大変になると思ったので、3DCGで作ったのではロボットだけです。二か所だけ背景も作りましたが殆ど実写です。背景が実写だと3DCGとのマッチングが大変じゃないかと思われますが、そういうのは先にコンテを切ってイメージボードを描いて計画を立てるのです。今回もぶわっとコンテを切りました。出来上がりと全然違います。最初は作品世界の紹介を実写でやった後に実写と合成してロボットバトルにする予定でした。が、そうなっていないのは時間がかかりすぎることが予想されたので、実写映像に3DCGで作ったカットを追加するだけの割としょぼい感じになったのです。
僕は普段実写映像を作ることが多いです。困ったときは手癖とか慣れた工程をできるだけ採用すると作りやすいです。3DCGより実写が楽で簡単だからではないです。
イラストも映像もライトはしょぼいです。ほぼ一灯です。商品の物撮りなどでなく、実社会では様々な光が回り込んでいます。が、回り込んでいない場合もあります。また回り込んでいないように見えるときもあります。そして、全部に光が当たってはっきり見えているより一部が影になったり、黒く潰れていることで存在感が出る場合もあります。日差しの強い日、曇天の空、早朝、夕方、様々な時間と場所で物体にあたる光と影を観察しましょう。ライトは少ないほうがコントロールしやすいし、レンダリングも早いです。観察は制作期間中以前に出来ます。作るための知恵と知識は効率よく制作するノウハウでもあります。
でですね、手抜きであってもしょぼかったり(しょぼいって言っておいてなんですけど)センスが壊滅的なのは辛いので格好良い、かわいいものにすることは放棄してはいけないです。

トータルで考える。

イラストだけのアイデア、映像だけアイデアだと考えることが二つです。一つにしましょう。一つにする方法は物語を作り、その物語や作品世界を視覚化する。映像から一部カットを取り出してレイアウトする。またはその逆。僕は設定を考えてその映像化を考えました。設定とか物語とかめんどくさい場合は取りあえず映像かイラストを考えてから動かすなり止めるなりしてみましょう。尺を10分など長尺を考えてはいけません。現代美術的に音がないとか止まったまま尺だけ5分とかでもいいですが、それだとコンセプトが面倒なので常識の範囲内で動いたり音があったほうが面倒がないです。あくまでも参加条件を満たすための作りであって、どちらかを落としてでも最高の作品を作る発想ではありません。しかし、参加者が全員フルタイムで働くプロフェッショナルであるならそもそもの条件を落とすことは、仕事をしている人としてどうか?と思うんです。最高の作品は条件を満たしていること、納期を守って掲載、展示されて初めて最高であるか考えるなり決めるなりする舞台に立ちます。同じダメでも納期が守れないのは手前がクソ、展示されれば展示作品がクソ、どちらでも辛いですね。てなことで、イラストの場合はそのポーズをとるまでの動きをつけてそれをフレームで切り取る、マルチカムで撮影して音楽のリズムかメロディーに合わせてカットを変えるなどすれば、映像は作ることができます。条件は映像なので物語である必要はないのです。

他人に頼る。

作品作りは自分でやるものとはいえ、本当に全部一人ではできません。特に映像は本当に一人で作ってる人はごくまれです。僕は作品世界を考えることや登場する言語の翻訳、ナレーションをそれぞれ依頼しました。丸投げではなく、ある程度自分で作っていますし、お願いしたいことを説明する手間暇はかかります。それでも自分ではできないことを作品に反映できるので作品に厚みをつけることが出来るんじゃないかと思っています。
頼る人は友達でいいと思います。あなたの友達は何ができますか?

演出力や構成力をつける。

3DCG作品といったって、結局はイラストであり映像です。筆で絵を描いたり、写真を撮ったり、映像を撮影して出来上がるものと結果は同じです。四角の平面の中でレイアウトすることは複雑なオブジェクトでもシンプルな球や円錐などを配置するのも同じことです。あえて3DCGの利点や独自性を言うならば、レイアウトを自由にできることです。バランスをとる理屈は既に存在するので、バランスの取れた取りあえず綺麗な絵作りをすることは理論でできるのです。あえての独自のセンスなど要らないのです。映像でも同様です。定石は既に存在するのでそれに当てはめればいいのです。何度も言いますが、あくまで条件をクリアするためのしょぼいそこそこの作品を作ることを目標にしています。世界最高の凄い作品ではありません。でもそんなの嫌だというならば嫌だと思う点を修正していけばいいのです。嫌だけど技術不足!の場合は、あきらめるしかないですね。あきらめてばっかりはモチベーションが落ちるので、工夫しましょう。3DCGの人は比較的ワンシーンワンカットをやりたがります。これを考え直しましょう。というのは先にも上げたマルチカムで撮ってマスターショットに対してインサートすると多少変わってくるのですが、実写でジャンプして空中で回転して馬に乗る。もしくはバイクに乗るシーンをワンカットで撮れない場合にカットを割るのです。吹き替え使ったりワンカットでテイクを重ねてしまっている場合ですね。結構ありますし、長台詞をカットを割ってる場合などもNG対策だったり、割ったほうが効果的だったりする場合があるのです。3DCGだとカメラも役者もずーっと動かせてしまうのです。いかにも3DCGを学んでいる学生作品みたいにもなります。これはなかなかダサい。効果的にカットを割りアップや引きをインサートすることで映像をきびきびとしたものに見せることができるのです。カットを割ると時間を省略したりディフォルメしたりできます。ワンカットで作ってしまうと時間は等速なので時としてリアルタイム以上の時間を感じることもあります。見ている人とやっている人は時間の感じ方が違うのです。とか、3DCG以外の絵や映像の作り方を学んでおくと3DCGツールで何を作業するか落ち着いて考えることができます。
イラストをもうちょっと言っておこうか。今回は基本的にキャラクターイラストでした。ここで初めて公開するキャラクターばかりです。そうなると全身を紙面のセンターに置く、写真で言うところの日の丸構図になりがちです。実際ほぼそうでした。これでもよいのですがあえてそうする作戦にはちょっと見えないので、ちょっとカメラの向きを変えてみましょう。キャラクターは動かさなくていいです。工数少な目、手抜き作戦ですからね。カメラのセンターからキャラクターを外すのも工夫です。紙面(フレーム)に対角線を引き、その中におおよその収まるようにするとバランスは取れます。またフレームの三分の二当たりの位置に重心があるとバランスが取れます。これもルールそのままだと皆同じになって格好悪いのですが、バリエーションはあるので同じ構図を皆が選ばないことを祈るばかりです。また、フレームの外の世界もあることを感じさせる絵作りとか一枚絵でありながら映画のワンシーンのような発想をするとか、今回二点出展だったので連作、或いは二コマ漫画と考えるのもアイデアを考える糸口になるかと思います。僕は対にして風神雷神を念頭に置きました。これで自動的に二枚作れます。
リアルに見せたいときはカメラの画角を30から50mm当たりで推移しているといいとか、できるだけ人の目の高さから見える絵にするとか、レンダリング品質以外に現実の視点を念頭に置くことも考えてみてはどうでしょうか。ドローンから見た視点や極端な煽り、広角などはケレンが効いて楽しそうですけど、多用すると効果が減るんですよ。

スケッチブックは何故作ったのか。

副読本みたいなのがあると作品がある感じすると思ったので。映画もパンフレットがあるとこれから見るぞーとか、見た後でも思い出すのに良いガイドになる時があります。配布できたらなおよかったですが、モチベーションが続きませんでした。
レイアウトするのは普段の仕事でやっているので、その延長です。作品世界を展示作品だけで表現できない時点でダメ作品ではあるものの、解説本が楽しいのもまた事実。これでフォントも自作していることを知って話しかけてもらえたこともありました。
作るのは最初から決めていたのでスケッチブックを作成するスケジュールも込みで予定は立てています。本来作品ではないので第三者が作るのが良いとは思います。

なにより頑張る。

グループ展で、例え誘われたとしても自分でやると決めた自作の展覧会です。誰かに頼まれたやらされ仕事じゃありません。お金は出ていくばかりですがそもそもそういうものです。特に今回は作品を売らないことにしていたので、プラスは一切ないです。出来ることは作品を楽しむだけです。楽しむために頑張りましょう。

僕は3DCGの専門家ではないので、今回の展覧会で3DCGについて話すことはできません。作品のクオリティも自分なりには頑張ったつもりですが、大したことはないでしょう。しかし、参加条件だったイラスト二点と映像の両方を展示していたのは僕だけです。ならばこのことについては話せるのじゃないかと思って、と言って誰も聞いてないけど(泣笑)。最初にお客さんとして想定していた3DCGを学ぶ学生に対してはこうやって書いたことのほうがどんなツールとか、ソフトの使い方より大切じゃないかと思いました。

全然蛇足。スケッチブックに使ったバインダーはダイソーに売ってるやつ。これはよいと思ったよ。大体同じクラフト紙のバインダーが無印良品にも売ってる300円くらいで。クラフト紙の良いのは絵が描けること。赤鉛筆で下書き描いても消しゴムで消せるのだよ。だからって下書きで描き込みすぎると消せないかもね。

コメントを残す