2019年5月25日の話。

少し勉強会的なものに参加。かなりロングスパンの制作の予習みたいな感じ。会場が図書館だったので終わってからオール讀物 6月号掲載の春日太一「橋本忍と砂の器」を読む。そもそもの話、図書館に雑誌があることを知り、もしかしたらオール讀物もあるんじゃないかと探したらあった。あったので読んだ。春日太一さんはラジオなどの出演も多く、同じ内容なら本人が直接話しているときが口調の勢いなどもあり、読むより聞いたほうが印象が良いのだが、その口調を脳内で再現しながら読むとなかなかな勢いで読め、更に内容の充実感も相まって圧巻だった。映画では父子が流浪の旅に出る理由がハンセン病であったのに、TVなどでのドラマ化に至っては理由が殺人になっていることが気になっていて、それが解決する内容が書かれていたらと希望を持っていたが、これについては書かれていなかった。それが些細なことと感じるくらいに映画にするものなるべきものとは何かを考えさせられる内容だった。

『映画を撮りながら考えたこと』をやっと読み終えた。

『映画を撮りながら考えたこと』(是枝裕和)やっと読み終えた。を
残りのページ数が少なくなるのが惜しく感じる内容で、穏やかな文体と濃い内容がとても身になった。
全体は万引き家族以前までの自作のメイキングといい切ってしまうのが勿体無い映画の作り方の本。ドキュメンタリーからフィクションへの変遷がとても濃密だった。
TV出身であることを卑下するでも殊更誇るでもなく、良いところ、難しい部分、映画の面白さなど、本当に映画が好きなのだなと読んでいて感じました。
本人は実際どんな人なのかわからないけど、イッテQの出川のコーナーでたまに登場する是枝さんの感じが思い出されて面白かった。外国を観光中に偶然知り合いに会って気さくに挨拶してる感じ。
子供の頃に見た帰ってきたウルトラマンをかつて見たかもしれない記憶や子供の頃の思い出でなく、今に続く作品として記憶されている点も驚かされた。アニメや特撮に大きく関わる人以外でこういったことはあまり聞かないからだ。
文章を読むのが苦手な僕でも読みやすかった。

気分はもう戦争3を読んだ。

出掛けてばかりの一週間で買ったまま読めずにいた、気分はもう戦争3を読んだ。短編読み切りながらなお続くように終わっている。話の進めたやセリフ、絵の雰囲気(キャラクターじゃなくて)も気分はもう戦争そのままだ。近年、何年かに一度発表される大友克洋の短編漫画の読後の物足りなさをこれでも味わえる。連載してよ。

松本清張映像の世界―霧にかけた夢を読んだ。

林悦子著、松本清張映像の世界―霧にかけた夢を読んだ。
出版元のワイズ出版のウェブサイトにある紹介文によると


松本清張と共に映像化の仕事にたずさわった林悦子が、松本清張がどれだけ自分の原作をイメージ豊かに映像化することにこだわったかを描く。
松本清張原作映像化(TV化、映画化)全リストを掲載した映像人間、松本清張の決定本。映像化にこだわった松本清張の知られざる姿が浮き彫りになる。

紹介文を引用したのは簡潔で的確な文だと思ったからだ。実際に本書は映像化のこだわりがそれぞれどこにあるか著者本人の回顧録も含めて書かれている。著者が松本清張原作の映像化などのための企画製作のプロダクション霧プロダクション及び霧企画で働いていた(題名は忘れたが林悦子氏は霧プロを創業したように書かれた本があるが、林氏は創業者ではない。この本でも霧プロに就職する件も書かれている)、プロデューサーであり、当事者なのだ。

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『幼稚園バス運転手は幼女を殺したか』を読んだ。


幼稚園バス運転手は幼女を殺したか
著者/小林 篤

2001年発行なので今となっては古い本になってしまった。足利事件の主に裁判を中心に追ったドキュメンタリーだ。あまり本を読まないので比較するものが少ない中の断定は良くないが、重厚で読み応えのある内容だと思う。
また、この本が書かれた時点では当時被告の冤罪が確定していない。だから題名が『幼稚園バス運転手は幼女を殺したか』なのだ。bそして本の半分もかからないうちに著者は冤罪の可能性を持った文体になっている。かといって断定はしていない。内容も常に第三者の立場を貫いたものじゃないかと思う。取材はしていても特定の誰かと親しくなるほどに関わっていない感じがした。なので、文体も乾いた感じが真ん中あたりはする。最後の章の特に最後の方は全く逆で切ない。
実は読み進めることが苦痛に感じるほどに読みづらかった。その理由は本の外にあり、先に『殺人犯はそこにいる』(清水 潔 /著)を読んでしまっていたからだ。 続きを読む

殺人犯はそこにいるを読んだ。

殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―(新潮文庫)
著者/清水 潔

2016年に文庫Xとして表紙、題名などを隠して、書店でキャンペーンが行われた本でもある。
こういう売り方をする内容はスピリチュアルなものや自己啓発的なものが多く、そういった類が大嫌いなので全く興味も持たなかった。
で、2016年12月からAmazonプライムでオリジナルドラマとして配信されたチェイスが殺人犯はそこにいるとそっくりであるという疑惑で知り、読んだ。 続きを読む

世界のステルス戦闘機完全ガイドを読んだ。

世界のステルス戦闘機完全ガイド
出版社/イカロス出版 (2012/11/27)

ステルス戦闘機について入門に最適。写真がいっぱいでもないが、それぞれの図版が大きめなので2012年当たりのステルス戦闘機について取り敢えず知るにはよいと思う。2016年でも一般的にはそんなに変わりはないので、若干古くはなってもネットで調べるあたりにはなるんじゃないかな。

仁義なき日本沈没―東宝VS.東映の戦後サバイバル読んだ。

仁義なき日本沈没―東宝VS.東映の戦後サバイバル
春日 太一/著
新潮社 (2012/03)

東映と東宝という会社に焦点を絞って日本映画の衰勢を書いた本。あくまでも映画会社の話であり、映画の技術や物語のテーマなどについて書かれたものではない。amazonなどのブックレビューで書かれているように、著者がルポルタージュ的であるのにリアルタイムで見ていないことがどうしてもハンデになっている。これは著者のテーマに関わることなので分かって書かれていると思う。ゆえに俯瞰して見ることもできるし、書ける冷静さもあると思う。でも自分で現場へ行って取材したことと資料で取材したことの温度差が強いんだよね。現場を見てることはすごい熱量あるし、変な話し感動もある。まだ、戦後の映画の最初を知る方々が存命ではあるが、恐竜を研究するような感覚だろうか?そうでなくて例えるなら考古学でいいよね、考古学的にテーマを見つめているような感覚だろうか。

日本映画における「昔はよかった」とは1973年の『仁義なき戦い』と『日本沈没』を境にしている。というのがこの本のモチーフなんだが、それはほぼ最終章にしか書かれていない。そこに至るまでを東映創世記のころから時系列で書いているからだ。そりゃ枚数いるよ。おかげで満州引き上げの人々が東映を作ったという意味も理解できる部分があり良かった。また、東宝が落ち目の時、当然のようにゴジラシリーズも落ち目であり、その時の予算も人気もないゴジラを作らなければならない辛さは涙を誘う。何も知らずにゴジラの息子とかダセェって言ってごめんなさいだ。
おかげで、その後があっさりしている。たぶん、その後は皆さんご存知の通りという意味かと思う。ここも自分の体感して知ったもの(現在と未来)と資料から得た情報(過去の歴史的部分)との温度差が感じられてしまう。新書なのでほぼ読み捨てられる感覚ではあるが、何十年後かは今も過去であり歴史になるので、今もかつてあったことと同じような熱量でモチーフとしてほしいと思った。

個人的な仁義なき戦いと日本沈没の感想は、前者は社会の底と市井の人々のあさましくも生きる力を、後者は金持ちとその息子の発想で物語が作れているなと感想しました。物語の視点としては僕は仁義なき戦いがこれから(今ですね)で、日本沈没がかつてのものではないかなと思いますね。日本沈没は結局、大きな天災のなかで人々が何もできずに右往左往するだけを時系列で追ってるだけなので、作品世界の範囲が狭く、動機が悪いことであっても、自ら能動的に動く人たちが登場する仁義なき戦いには見た目で負ける。

迷いながら、強くなるを読んだ。

迷いながら、強くなる
著者/羽生善治
出版社/三笠書房 (2016/5/21)

羽生さんによる考え方のよりどころを書いた本。
発想の帰結先は巻末に書いてある様に、終わりよければ、すべてよし。 そして道を歩く。が全てです。
考えるときはとりあえず落ち着け、俯瞰して論理的に考えろってことで、しかし、一瞬一瞬の判断や思いつき(と書くと悪い事のように聞こえるが、あえての思いつき)を大切にして判断するってこと。

優しい口語体なので読みやすい。中学生くらいで読むと大変充実すると思う。大人は言語化できずともある程度は知っていなければいけないことじゃないかなあ。それも読まないと分からないので、どうしたものか。

メカニックデザイナーの仕事論を読んだ。

メカニックデザイナーの仕事論
著者/大河原邦男
出版社/光文社 (2015/8/18)

あ、また一年位前の発行か。まぁいいや、内容は普遍的なことが多いので発行からすぐ読まなくてもよいと思う。古くなる事じゃないからね。
というのもこれは細かな技術的なことは書いてなくて、大河原さんのここまでの仕事暦、といっても世界初のフルタイムのアニメメカデザイナーなので、アニメのメカデザインの歴史でもあるんだよね。関わる仕事もアニメ史のエポックメイキングなものが多いし。それと仕事論が本当に論になっていて、アニメに詳しくなくても興味が無くても仕事をする人全てに大変にためになると思う。
文体も口語調且つ平易で読書が苦手な僕でも読みやすい。

メカデザインの基本要素はガッチャマン、ポリマー、テッカマンにあるそうです。

論の部分としては、社会人として仕事をするとはどういったことか、スーツ着るとか、変な挨拶するとか、そんなんじゃなくて、仕事の中で自分が置かれた立場で存分に働く方法、方法じゃないか、実践から感じた心構えみたいな事かな。そういうのが大変分かりやすい。職人とはかくあるべし!みたいなのも無くてほんとにありがたい。