飛蝗王子

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昔、ある平和な国がありました。

王様は知恵と勇気のある家臣たちに恵まれ、国を平和に治め、争いごとがあったとしても穏やかに治め、国民から大変慕われていました。
王様には一人息子がいました。王子は将来王になるための勉強のために諸外国へ留学していました。

王様には平和で穏やかな国に満足していましたが、不安もありました。自分が死んだ後もこの平和が維持できるかと。
家臣や王子を疑っているわけではありませんでしたが、心の隅にそれはいつまでも小さく居すわっていました。

不安を隠せなくなった王様は家臣の一人に占い師を雇うように指示しました。
やってきた占い師は王様に次々と小さな小さな不安を言い当てていきました。
次第に王様は不安で押しつぶされて病気になり床に伏せてしまいました。
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王様が危篤の報を受けた王子は急いで帰国しました。
しかし、王様が息を引き取る瞬間には間に合いませんでした。
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王様が死んだのは占い師が使った魔法のせいです。占い師は魔法使いで、呼び寄せた数人の家臣と組んで国を支配しようとしていたのでした。
それに抵抗した他の家臣たちは全員石にされ、王様を入れる棺にされました。そして城からずいぶんと離れた国境の寂しい谷へ捨てられました。

王子は魔法で小さなバッタにされてどこかへ飛ばされてしまいました。
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国は占い師とその仲間の元家臣たちに支配されました。
その国の姿はこれまでのような明るさは消え、毎日が暗闇の洞窟にいるようでした。
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それから数年後、国にバッタの大群がやってきました。
バッタの大群は城を覆い、元家臣たちを倒していきました。
占い師の前に大量のバッタが集まったとき、バッタから強い霊気が炎のように舞い上がり、バッタの顔をした人型になりました。

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私はあなたにバッタにされた王子だ。この国にかけられた呪い打ち払い、あなたを倒す。

そう言って占い師と戦い、倒しました。その後、国境沿いの寂しい谷へ捨てられた王様の棺を探しだし、石にされた家臣たちを元に戻しました。でも王様を生き返らせることは出来ませんした。

王子はバッタの顔から昔の王子の顔になりました。だた眉間に突起のような傷がありました。
国は台風が過ぎ去った後のように明るさを取り戻し、家臣たちが昔、王様が治めていたときのような穏やかな国づくりを進めていきました。

家臣たちは王子に王様になって欲しいと願いましたが、王子は私はもうバッタの化身になってしまいました。人ではないのです。もし私が王になれば不信に思う国民が争いを起こすでしょう。私は遠くからこの国を見守ります。そしてどこかで起きてしまった争いを止める為に現れるでしょう。
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といって、小さなバッタの姿になり、どこかへ行ってしまいました。

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