何度目かの獣の剣を見た。

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獣の剣(1965年 日本 監督/五社英雄)

絵作りがTV的で見やすい。僕がTVドラマに慣れているからだと思う。白黒の絵が綺麗なのはこのDVDをリリースしているクライテリオンがいい仕事をしているからだろうか。多分Rebel Samurai:Sixties Swordplay Classicsという四本セットになっている他もグレースケールが綺麗に表現されているので多分そうだろう。白黒も良いなと思わせる。

田中邦衛さんが妙に存在感がある。この人だけ別の世界から来たようだ。東野英治郎さんもこの頃の時代ものにはよく登場して、結構嫌な役が多いんだよね。水戸黄門でしか知らないから凄く違和感がある。多分当時は水戸黄門こそ違和感があっただろうね。

殺陣をつなぐようにドラマが進んでいく。殺陣を見せる為の様な作りなのに、その殺陣が一々泥臭い。全然かっこよい様じゃない。農民なども戦いに参加しるからというのもある。スターをかっこよく見せる殺陣じゃないところが気に入っている。
話は藩のために滅私で働く侍が裏切られる話で、それが二人いるので複雑に見えるようになっている。近い境遇の二人なので、コントラストつきにくいと思ったよ。クライマックスで片方が嫁ごと殺されるのが救いが無いように見える。スカッともしないし、重い話を見せることからもやや遠い気がする。出来栄えのよい話運びではなくても、下級武士を描くことについては興味があるので見てよかったとおもっている。

同じ監督の御用金はこれよりも後に作られたのに、こちらは少々おすまし感がある。まだ映画を作ることに緊張していたのだろうか。