何度目かのICHIを見た。

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ICHI(2008年 日本 監督/曽利文彦)

何故、市の殺陣だけスローモーションなのか。何故、間合いが順手の持ち方と同じなのか。逆手だと下から切ったほうが動かしやすいと思うんだけど、何故か留めは上から振りかぶっている。市の戦法が相手の刀を鞘で受けてから始まり、相手を押してから切っているので、剣術以前に物凄い力持ちじゃないと出来ない。
何故単に居合いの達人でいいのに逆手一文字斬りと新規に技を作るのか。戻って逆手だと相手の懐にもぐりこまないと切れない。常に刃が腕の内側になるからだ。アクションとしては拳で殴っているようにも見える。刃の動きを見せようとすると体を物凄く伸ばして動かさないと見えない。欠点のようになっている接近しないと切れない持ち方で、瞬時に相手を切り倒し、残身の美しさ。座頭市の見所の一つだと思いますが、この映画では見れません。
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座頭市は根本的な部分で既に自分の考えを持っていて悩みません。今どうするかという点においては、毎回考えるでしょうけど、自分は何者かということははっきりさせています。この市は自分は何なのか悩んでいて、その答えを出すことがこの話の一つになっています。なので、凄くまだるっこしい。悩んでいるので全てにおいて盲目の凶状持ちの居合いの達人の凄みはありません。またいろいろな事情でめくらという言葉が使えないのか、劇中では一切登場しません。制限のある中で罵倒しなければならない状況に心中お察しします的な思いを持ちました。でも北野武監督の座頭市ではめくらって言ってたよな。

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やくざが全員悪くないこともオリジナルの座頭市とは違います。座頭市では基本的にやくざは全員悪党で対立する組はどちらも全滅します。この映画ではやくざと無宿人による対立でやくざの構想とは違うのですけど、なんというか煮えきれない感じです。やくざを肯定してしまっている。まるで良いやくざと悪いやくざがいるようです。

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市は汚い恰好をしている設定なのですが、人工的にバランスよくボロボロにした服を着ているように見えます。かっこいいです。グランジです。みすぼらしい惨めな人には見えないです。色々事情はあるのでしょうが、服が衣装でした。
最後まで市の殺陣だけスローモーションなのが気になりました。市の殺陣だけでなく、スローモーションが多用されているので製作者の見せたい部分がはっきりして、製作者の顔も見えてきそうで、いやらしかったな。

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物語は大沢たかおさん演じる藤平十馬の物語です。

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