何度目かの座頭市物語を見た。

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座頭市物語(英題/The Tale of Zatoichi)監督/三隅研次 1952年 日本

本当に何度も見ているので目が飽きてきているというか、慣れてしまっているので何一つ驚きも何もないのだが、マンネリ化しても面白く感じる。何が起きるか分からないことだけを優れた物事として捉えるのではなく、わかっていることが起きるタイミングの心地よさを楽しめると何度見ても面白い。座頭市シリーズはこの、分かっていることが起きるタイミングのバランスが良いと思う。
この座頭市シリーズは悪名、兵隊やくざの計三シリーズをほぼ同時に製作され、どれも男の友情を描いているのだが、勝新太郎が監督しているわけではないのにどれも友情がほぼ恋愛と同義に描かれている。この座頭市物語でも市と平手造酒に間には友情が生まれ、その描き方がまるで恋愛のようなのだ。兵隊やくざではシリーズを通して恋愛のように友情が育まれる。しかし、市を慕うおたねは何としても市に添い遂げようとするものの、市は穏やかに突き放す。
平手造酒も自分の死と引き換えであっても市の太刀筋を見たいと、まるで何かの中毒になったかのようにそのことだけど考えるようになる。剣に対する求道よりも市に対する求愛のようにもみえる。平手造酒の恋には応えるが、市の死にきれない生きていてすみませんという緩い断罪が、すべての人を拒絶しているようだった。

最後のシーンへ繋がるおたねの「待ってますから」と市に懇願する下りはDolls(監督/北野武 2002年 日本)の良子と将来やくざになる男との若いころの別れの「お弁当作って待ってるから」に引用されているんじゃないかと思うが、こういうのはよくあるセリフとシチュエーションで一々言うことじゃないんすかねぇ。

アマゾンプライムでも見ることが出来るので未見の方は是非。

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