何度目かの、アルマジロを見た。

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アルマジロ(原題/ARMADILLO 2010年 デンマーク 監督/ヤヌス・メッツ)
見た。タダだったし。アフガンのアルマジロ基地の駐留するデンマーク兵士に密着したドキュメンタリー。
良い悪いが言いづらいもので、ただ淡々と見た。良いなと思ったのは最初のほうの訓練シーンでヘビーメタルな音楽が使われていたことだ。こういったドキュメンタリーやミリタリーもののフィクションでも比較的ハードな曲が使われることは珍しい。特にリアリティや実話をベースにしたものだとロックすら使われることが無い。たぶん子供っぽいかっこよさがあるからだと思う。つまりこのシーンは勇ましいが子供っぽいのだと思った。実際、映画が進むとまったく勇ましく無い、泥臭いが湿度をあまり感じない戦闘シーンが連発する。

湿度を感じないのは、カット割が丹精だからだ。結構切れがあり、アングルも作ったように決まっている。時間軸としてはドキュメンタリーなので抑揚は少ないが、シーンごとのカットはエッジがある。まるでフィクションか一度リハーサルをしているようだ。簡単に言うと部分だけ見るとかっこいいのだ。しかし、全体としては監督にお涙頂戴的なメッセージも観客に共感も求めていないのか、待ったり感があると思った。あるがままを見せたいのではないかと。
見ているほうが心配になるのはこのあたりだけでなく、ちょいちょい部隊の情報などもあっさり公開している。内輪もめなんかもあっさりだ。既に終わった話ならいいのか、でも揉めてるのは後でも問題だろうと思うけど、なにせ映画で見えてしまっている。思わなくていい何故のある映画だ。
そして、兵士たちの殆どは任務が終わってもまた戦場に戻ってしまう。死が目の前に迫ると生を感じるのは戦場に限ったことではないが、戦場はそれをより強く感じるのだろう。戦争に対して社会的な意義も、理由も、善悪も、何も関係なく、ただ目の前にある事象によって自ら生きている実感が欲しいだけになってしまうのは、この兵士たちだけではない。他でも聞く。これが戦争中毒なのか。戦争の善悪についてあらゆる人たちが話すが、自分の立ち位置からばかりなので、話がかみ合っていない。でも僕が知りたい戦争のことはたぶんこのアルマジロという映画なんだと思った。なぜなら、僕が実際に戦争になった場合に当てられる立場がこの兵士たちになるだろうからだ。

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