見聞と虚構

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突然政治家を志した若者がトントン拍子に当選し、地方議員になった。しかしそれは外から見た景色であり、実際は選挙のやり方も政治の知識、運営などについても全く蓄積が無く、そのほぼ意味は無いが強い志とさわやかと称されるに値する見た目に群がった既存の政治業界の思惑によって構築されたものだった。

そうやって政治家としての道を歩み始めた若者は、志を曲げることなく政治についての経験を物凄い速さで身に着け、政治家になって一年で地方自治体の首長となる決意をする。自身のポテンシャルとして首長の任を全うする能力があったとしても選挙にしろ市長職を継続するにしろ、人も金も必要だ。全く無しでは選挙を戦うことはできない。しかし、若者には依存の政治業界は群がり続けた。

そして首長となり、さらに経験値を上げる。

ある日、別の首長の選挙の応援演説に呼ばれ、合同の控室で恰幅の良い絵に描いたような業界の男に言われた。
「結婚しているか?」
「いえ。」
「結婚していないやつは半人前だ」
若者は苦笑いするしかなかった。

その選挙にも早朝から自らの車を運転し、市内をくまなく回る応援に駆け付けた。
その時運動員に話しかけられた。
「遠いところからお疲れ様です。こうやって、市の全域を回るのって大変ですね」
「こういう(選挙)方法ってどうかと思うんですが……」

そしてある日、いわれなき罪によって手錠をかけられ、全てが奈落に落ちたかのように見えた。しかし、

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